【“ひめゆり発言”の西田議員】「正しい歴史観を」 憤る館長「平和教育がめちゃくちゃだと言われた」 “歴史塗り替え”真偽は?

【“ひめゆり発言”の西田議員】「正しい歴史観を」 憤る館長「平和教育がめちゃくちゃだと言われた」 “歴史塗り替え”真偽は?

自民党の西田昌司参議院議員による、「ひめゆりの塔」をめぐる発言が波紋を広げています。平和祈念資料館の館長は発言内容を否定し、「体験者の思いを踏みにじる」と反発。西田議員は撤回しない考えですが、歴史の専門家はどう見ているのでしょうか。

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https://news.ntv.co.jp/category/society/01468d0d08bf414094a56a2e21fa962a

■資料館館長「体験者の思いを否定」

あの戦争から80年。1945年3月に始まり、激しい地上戦となった沖縄戦は、日米双方で合わせて20万人以上が亡くなったとされます。

最大の激戦地だった本島南部で犠牲になった「ひめゆり学徒隊」。その女子生徒らをしのび、沖縄県糸満市に建てられたのが「ひめゆり平和祈念資料館」です。

その普天間朝佳館長は7日、自民党の西田昌司参議院議員の発言に憤りをあらわにしました。

「展示がひどいとか、間違った展示があるとか言われると、体験者の思いを否定するものだし、踏みにじるものじゃないかって思いました」

■「間違った歴史観で塗り替えられた」

西田議員は3日に沖縄県内で行われた憲法改正に関するシンポジウムで、かつて「ひめゆりの塔」に関する展示を見た印象について、こう発言しました。

「日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆりの隊が死ぬことになっちゃったと。そしてアメリカが入ってきて沖縄は解放されたと。そういう文脈で書いてるじゃないですか、あそこは」

また「占領中に間違った歴史観─連合国・アメリカが正しいという歴史観で、歴史が塗り替えられた」とも述べました。

■撤回せず…「事実を言っています」

7日に発言の意図を問われた西田議員は「展示を見た印象は、まさに日本軍が入ってきて戦争が始まり、アメリカが入ってきて戦争が終わり平和になったという、そういう文脈を私は感じた」と話しました。

一方、資料館の普天間館長は「彼(西田議員)が言っているのは全く過去にも現在にもないので、何を言っているんだと思いましたね」と否定しています。

──そういった展示は、ひめゆりの塔にないと。

西田議員
「祈念館というよりも、なにか近所の洞窟のようなところに入って見たという記憶があるんですけれども。だから祈念館の人がないと言っても、そこだったかどうか、定かではありません」

──撤回する考えはない?

西田議員
「もちろんないです。事実を言っていますから」

■身内からも苦言「本当に残念」

野党からは批判の声が上がります。

立憲民主党の野田代表
「ちょっと信じがたい発言だと思いますし、沖縄県民の気持ちを逆なでするような発言なので、私は訂正すべきだと思いますね」

身内からも苦言がありました。

自民党沖縄振興調査会長の小渕優子議員
「こうした1人の発言によって、我々が一生懸命やってきたことが評価されないこと、また沖縄の皆さんの気持ちを傷つけてしまったこと、本当にこれは残念な思い」

■西田議員「既存のマスコミは…」

西田議員は「正しい歴史観を持つべきという思いで発言している」と主張しています。7日、報道陣を前にこう語りました。

「オールドメディアといったら失礼だけれども、既存のマスコミ・学者・政治家はかつての占領中に言われた価値観や考え方をずっと正しいと言い続けているわけですよ」

「それに少しでも違うと異議を唱えたら、何を言っているんだとパージ(排除)するわけ。まさにそれが、いま私がされているわけですよ」

──もう一度現地を訪れて、正しい情報をもとに発言し直す考えは?

西田議員
「いずれね、僕もまた行ってみたいと思います。それはいずれ行きたい」

■発言にぶれも…ファクトチェックは?

藤井貴彦キャスター
「発言以降、波紋が広がり続けています。西田議員が言っていたような『連合国・アメリカが正しいという間違った歴史観で歴史が塗り替えられた』という印象を受けるような展示はあったのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「まず、ひめゆり平和祈念資料館の館長は『一方的にどちらが正しい、どちらが悪いといった展示は、この資料館にはないと思う』と反発しています」

「また西田議員は、初めはひめゆりの塔で見た印象だと言っていましたが、7日になって『近所の洞窟のようなところに入って展示を見た記憶がある』とした上で、『定かではない』としています」

「これについて資料館の担当者は『そもそも資料館の近くに洞窟はない。また館内に当時の洞窟を再現した模型はあり、敷地内に模型のモデルとなった洞窟はあるが、中に入れないし、西田議員が言うような展示もない』と否定しています」

藤井キャスター
「この発言内容をファクトチェックすることはできるのでしょうか?」

小栗委員長
「ファクトチェックしようと思ったのですが、なかなか難しいです」

「というのも、7日の取材に対して西田議員は『展示を見てそういう印象を持った』『同じ展示を見ても、皆さんはそう思わないかもしれない』と、あくまで本人の印象、感じ方を言っているのであれば、ファクトチェックのしようがなくなります」

「そもそも西田議員はひめゆりの塔を訪れた時期について『10数年前』と言ったり、『20年以上前』と言ったり、かなり曖昧な記憶に基づいていて、発言がぶれています」

「今回の発言について館長は『沖縄の平和教育がめちゃくちゃだと言われた。資料館にとって大きな損失。確認せずに発言したことは悔しい』と憤りをあらわにしています」

■歴史の専門家に聞く…発言の問題点は

藤井キャスター
「今回の発言を、歴史の専門家はどう見ているのでしょうか?」

小栗委員長
「西田議員は『連合国・アメリカが正しいという間違った歴史観で歴史が塗り替えられた』と発言しています。沖縄戦後史を研究する沖縄国際大学の秋山道宏准教授に聞きました」

秋山准教授
「アメリカ軍も旧日本軍も住民にとって生活を脅かす存在で、どちらかの軍を称賛することはない。今回の発言は、証言の蓄積を軽視しているだけではなく、事実に基づかずに歴史の認識を批判している点で問題がある」

「沖縄戦や証言の蓄積の重要性を認識しないといけない。政治家としてのスタンスも問われるのでは」

藤井キャスター
「政治家のスタンスという点では、よく(アメリカの)トランプ大統領が『ただのジョークだった』とか『冗談が通じないな』といった責任をリセットする発言をしますが、たとえそれが冗談だったとしても、恐怖や憤りを感じる人は多くいます」

「言葉で一石を投じたその先に、どんな波が起きるのか。その発言に責任を持てるのか。導く立場にいる人こそ、大切にしてほしい姿勢だと感じています」
(2025年5月8日放送「news zero」より)

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